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○○でボカロ曲パロ
††


「幻想の催眠に溺れたままでいい」

 バーテン服の青年の声が、少女の鼓膜を振るわせた。

「目隠しを外しちゃ、面白くないでしょ?」

 黒ずくめの青年の声が、少女の鼓膜を振るわせた。続けて、黒ずくめの青年が言った。

「足元ご注意。その手は僕が引くから……その身を今すぐに委ねな。さぁ!」

 驚いた少女は、一瞬感じた恐怖に目を覚ました。しかし、そこには暗闇しかなかった。だが、それは違うと気付いた。少女は、自分に目隠しされると気付いたのだ。
 そして、誰かに手を引かれているという感覚があった。恐らく、黒ずくめの青年だろう。

 沈みかけた意識の中で、少女の耳にかすかに届いた二人の会話。いや……二人が少女に対して呼びかけた言葉。

 いつからか、疑念の刃が見え隠れする。少女は疑問に思う。
 何故、自分は二人についてきているのか。
 何故、自分はこんな事になっているのか。
 何故、二人は自分の事を呼んだのか。
 これから、自分の身に何が起こるのか……。
 あまり良い事は期待出来そうにない。だが、一つだけ言える事がある。

 彼らには、愛という免罪符など存在しない、と。

 どこにいるかもわからない少女。せめて、目隠しに隙間があれば……。
 そう少女が思っていると、足に何か違和感を感じた。そして少女は、大きな音を立てて、盛大にコケた。

「ひゃっ!!?」

「あれっ?大丈夫?」

 黒ずくめの青年の声が、心配そうに言った。すぐに助け起こされた。

「あぁ、そっか。俺達は見えてるけど、君は見えないんだよね。目隠ししてるから」

「ちゃんと端に寄せとけよ」

「はいはい」

 ガラガラガラ、と渇いた音が響く。どうやら少女が躓いた物を退かしたらしい。音が終わると、再び歩き始めた。
 しばらく歩いてから、少女は気付く。目隠しが少しズレているのを。




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あきゅろす。
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