DRRR!!夢[臨也] 池袋某所・セルティ視点 ふむ……。やっぱりな。ある意味、予想通りだ。 指定された場所に行くと、臨也が待っていた。ただの依頼なら、いつものように電話で一方的に頼めばいいのに。 そんな事を思っていると、 「運び屋さぁ、今、電話で頼めばいいのに、って思ったでしょ?」 と言われたので、 『……だから何だ?』 と返してやった。 「別に。少しは人間らしいんだな、って思っただけだよ」 『あっそう。で、何の依頼だ?』 「それなんだけどねぇ、今回は少し特殊なんだよ」 『特殊?』 「そ。本当は他に頼むような事じゃないんだけどね。君も噂ぐらい聞いた事あるんじゃないかな?」 『何の事だ?』 「クレイジーリッパー」 クレイジー……リッパー……あぁ、あれか。 『確か、恋人だけを狙う切り裂き魔、だよな?』 「そう!仲睦まじい恋人同士を白昼堂々と切り付ける、イカれた奴さ」 『そのクレイジーリッパーが、何かあるのか?』 「そうみたいなんだよねぇ……。実はさ、俺と雪華でおびき寄せようとしたんだ。もちろん雪華には仕事だ、って言ってクレイジーリッパーの事は秘密でね」 『あの子を巻き込んだのか!?』 「俺としては残念な事に、雪華は途中で怒って帰っちゃってね。クレイジーリッパーの事がバレたんじゃないよ?ちょっと別件でね」 色々聞きたい事があるが今は我慢しよう。 「で、君に頼みたい事はね」 『クレイジーリッパーを捕まえるのか?』 「いや、それは警察とかに任せるつもりだよ。俺が運び屋に依頼さたいのはクレイジーリッパーがどんな奴か、って事」 『つまり正体を暴け、って事か?』 「まぁ、そういう事。でね、今ちょうどいいカップルを見付けたから、そいつらに尾行してほしいんだよね。君なら簡単だろう?」 まぁ、気付かれない事もないが……なんか気が引けるなぁ。 私が返事もしないうちに、臨也はちょうどいいカップルの名前を告げた。 その名前を聞いた瞬間、私はこう思った。 あぁ、やっぱり嫌な依頼だ。 そして最低な奴だな。 [*前へ][次へ#] [戻る] |