もう陽が沈もうとしているこの時間帯。多くの学生が帰路についていた。
私は、バイクを停めると静雄に確かめた。
『本当に、ここでいいのか?』
「大丈夫だ。あんまり遠くだと悪いしな」
『そうか……。お茶の一つも出せなくて、申し訳ないな』
「いいって。気にすんな」
『……静雄は、雪華の事が心配なんだな』
普段、あまり自分から世話をかけるなんてことをしない奴だったからな。家までついてくるってことは、余程雪華が気に入ったのだろう。
そう思い、薮から棒かもしれないが、私は静雄に聞いた。彼は驚いているというか、慌てふためいていた。
「はぁっ!!?なな、なんでだよ?」
『見てればわかるよ』
「そう……なのか?」
『昔からの付き合いだからな。新羅は気付いてるかどうかわからないけど、少なくとも私にはわかる』
「……俺はよ、あいつが心配なんだ」
『? なんでだ?』
「前会った時も今日会った時も、ノミ蟲くさかった」
『……臨也か?』
「あぁ」
……そういえば、雪華は臨也の所に住んでいたな。何か事情があるのかと思って、深くは突っ込まなかったけど……。
「あのノミ蟲、雪華を使って何か企んでやがる」
まぁ……そうなんだろうけど……。
『これからどうするつもりなんだ?』
「やる事は一つだ」
静雄は、怒っていた。気付いた時には、すでに怒っていた。
「あのクソノミ蟲を、ブッ潰しに行くついでに、雪華について聞いてやる!!」
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