「……ん?運び屋からメールだ」
俺は充電器に差し込んであった携帯を取り出し、メールを開いた。そこには、今日の分の依頼を終了したとの内容が書かれていた。
「ふぅん……意外だなぁ。結構早くに別れたんだ」
俺的には、そのまま男の方の家に泊まると思ったんだけどねぇ……。
「女の押しが弱かったか、男の拒否が強かったか……」
携帯をデスクに置くと、波江が冷たい目をしてこちらを見ていた。
「さっきから一人で何ぶつぶつと言ってるの?気持ち悪いわよ」
「波江さぁ、もうちょっと上司に対する態度ってものを考えてみない?」
「今日はそろそろ上がらせて貰うわ」
「……そう。好きにすればいいさ」
気難しい部下を持つと、気が持たないというか、何と言うか、疲れるよなぁ。波江は簡単に準備を済ませると、颯爽と帰っていった。
……さて、そろそろ面白くなってくる頃だろう。
「楽しみだなぁ。楽しみだなぁ、楽しみだなぁ、楽しみだなぁ。ターゲットとしては失敗したけれど……これからきっと、面白くなるよ?セールティ」
俺はセルティ――デュラハンの首が入ったケースを両手で持ち上げ、掲げた。
「さぁて、君は一体、どんな面白い動きを見せてくれるのかなぁ?本っ当、楽しみだなぁ」
これから起こりうる事を考えると、自然と笑みが零れる。それはきっと、他人から見たらとても邪悪な笑みだっただろう。
ケースをいつもの所に戻し、出掛ける準備を始めた。
本っ当に、楽しみだなぁ――。
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