[携帯モード] [URL送信]

DRRR!!夢[臨也]
 


「えっ!?……いや、なんとも……」

 急に話を振られたので曖昧に答えた。少し困った様子でセルティさんの方を見てみる。するとすぐフォローしてくれた。

『新羅、雪華が困ってるだろう』

「あ、ごめんね?」

「とりあえず、頼んだぜ。セルティ」

『ああ』

「あれ?僕はスルー?」

「じゃあな。邪魔した」

『なんか悪いから、駅前まで送るよ』

「いや、そりゃ悪ィから遠慮すんよ」

『送らせてくれ!』

「でも、雪華を新羅と二人きりにさせとくのもよ……」

 平和島静雄はチラリと岸谷新羅の方を見た。それに気付いた岸谷新羅は心外そうに言った。

「ちょっとちょっと!そんなに僕の信用はないの!?いくらなんでもそれは酷すぎない?第一、僕の恋人は未来永劫、セルティただ一人なんだから!!」

 へぇ……彼はセルティさんの事が好きなんだ。なんか、意外というか、変わってるというか……不思議だな。
 心配をかけまいと、私は平和島静雄に向けて作り笑いを顔に貼り付けた。


「私の事は、大丈夫だから。気にしないで」

「そうか……ならいいけどよ」

『新羅、絶対に解剖したり変な質問責めをしたりするなよ?』

「わかってるって。いってらっしゃい」

『いってくる。行くぞ、静雄』

「あぁ。じゃあな、雪華」

「うん、またね」

 セルティさんは平和島静雄を送りに出た。そして、結果的に岸谷新羅と二人きりになった。
 ……さっき解剖とか言ってたけど、私、大丈夫かな?少し不安だ……。

「あー言っておくけど、君を解剖したりしないからね?」

「ぅ!?」

考えを読まれたらしい。

「セルティも静雄もさ、僕には解剖癖があると思ってるみたいだけど、そんな事ないからね?だから、そんなに固くならなくていいよ。……まぁとりあえず、ソファにでも座って」

「あ……じゃあ、遠慮なく」

「どうぞどうぞ。あ、コーヒーは飲めるかい?」

「コーヒーは……苦手です……」

「そうか……じゃあ紅茶は?」

「それなら大丈夫です」

「煎れてくるね」

「は、はい」

 私がソファに座ると、岸谷新羅はカウンターキッチンへ行き紅茶を煎れ始めた。
 それにしてもこのマンション、広いなぁ……。きっと家賃とか高いんだろう。

 そんな割とどうでもいい事を考えているうちに、岸谷新羅がマグカップを両手に持ってやって来た。

「はい、どうぞ」

 マグカップを差し出される。それをそっと受け取った。

「どうも……」

 私がマグカップを受け取ったのを確認すると、岸谷新羅は私の隣……というか、人一人分空けて座った。

「ちょっと君に一つ、聞きたい事があるんだけどさ……聞いていいかい?」

「私が答えられる内容なら」

 マグカップに煎れられている紅茶をゆっくり啜る。

「じゃあ聞くね。僕と雪華ちゃんは、一度会った事あるよね?」

「………っ」

 マグカップを落としそうになる。やっぱり、隠し通すには無理があったか……。




[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!