折原臨也が背もたれに思い切り体重をかけ、「やられた!」というリアクションをした。
それを華麗にスルーした矢霧波江は冷たい視線を彼に送りながら問い掛けた。
「で、この娘どうするわけ?まさかどっかに売るってことないわよね?」
「波江の中の俺って一体どうなってんだろねw」
「いいから質問に答えたら?」
「別にそんな物騒なコト、考えてないよ。純粋に俺色に染めたくなっただけさ」
「………」
矢霧波江の視線の冷たさが10%増した。
「……そんな怪しい目で見つめないでよww」
「雪華、今からでも遅くないから家に帰りなさい」
矢霧波江は私の肩にポン、と己の手を置いた。
「波江さーん?何か勘違いしてないかい?」
「大丈夫です。自分の身は自分で守れますから」
「ちょっとー、雪華も冗談キツイよー?」
「でもコイツ、たまに危ないわよ?」
「平気です。私は折原臨也を立派なにんげん嫌いにしてみせます」
「論点変わってない?」
「……そんなことできるの?」
「賭け、ですので。負けるつもりはありません」
「……そう。じゃあせいぜい臨也に襲われないように気をつけてね」
「……はい」
矢霧波江はそう言い残すと、何か用事があると言い、そそくさと折原臨也のマンションから出て行ってしまった。