『ここが私の家だ』
平和島静雄がメールを入れた後、セルティさんはすぐに来た。たまたま近くで仕事があったらしく、ちょうど終わった時だったらしい。
事情(と言ってもほとんど嘘)を話すと、セルティさんは快く私を泊めてくれると言った。
それが今に至る。
『変な同居人もいるけど……あまり気にしないでね』
「あ、はい」
『入っていいよ』
「お邪魔します」
「邪魔するぞー」
「……どこまでついて来るんですか?」
さっきからの疑問を平和島静雄に問い掛ける。何故か、彼も一緒に来ている。なんでもセルティさんの同居人と知り合いだそうだ。それがどうついて来る事に繋がるかは不明だが。
「茶ァ貰うだけだ」
「あっそ……」
セルティさんを先頭に、マンションの一室に入る。リビングらしき所に行くと、眼鏡をかけた白衣の青年がいた。……彼がセルティさんの同居人か。
「おかえり、セルティ!……と、あれ?静雄と……誰?」
『この子は雪華。静雄の知り合いだ』
「静雄の、ねぇ……。へー、いるんだね、知り合い」
「俺が居るって知って言ってんじゃねぇよなぁ……新羅よぉ」
「あー……静雄居たんだ。って、ゴメンゴメン、僕が悪かったから首を絞めながら持ち上げるのやめて!」
「……この人は?」
『岸谷新羅っていうんだ。一応医者だよ』
「へぇ……」
一応、なんだ……。医者だから白衣を着ているのか。平和島静雄から解放された岸谷新羅は少しよろよろしながら言った。
「えっと、セルティ。どうしてこの二人は僕ん家に来たのかな?」
『それは、……』
セルティさんが岸谷新羅に、これまでの経緯を説明した。それから二人が二、三言交わすと……
「うん、大丈夫だよ。人には色々事情というものがあるしね。うちに泊まりな」
あっさりとOKされた。
「えっ……いいんですか……?」
「勿論!セルティの友達は大切にしないとね!」
「は、はぁ……」
何だろう……若干ついていけない。
「じゃあ、雪華を頼んだぞ」
『えっ!?もう帰るのか?』
「流石に仕事を全部トムさんに押し付けるのは悪ィからな」
『そうか……』
「お茶くらい飲んで行ったら?」
「いや、大丈夫だ」
あれ?お茶貰いに来たんじゃなかったっけ……?
「そう……ならいいけど」
『なんか申し訳ないな……。ここまで来てくれたのに、何も出せなくて……』
「気にすんなって。俺としてはセルティは安全だけど、新羅がちょっとあれだなと思ってたからよ」
「ちょっと待って静雄。それは心外だよ!?俺ってそんな信用ない?」
「ああ」
『まぁ、確かにな』
「セルティまで……!そんな事言われるなんて悲憤慷慨だよ!!雪華ちゃんもそう思わない?」
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