「……まさかよ、セルティは野宿してると思ったか?」
「えっ!?いや……ぇと……」
図星を突かれた。
あぁ、もう……平和島静雄の相手は意外と疲れるなぁ。
「それ本人に言ったら、多分怒るぞ」
「そう……ですね……」
「まぁ、そんなションボリするな。セルティは今仕事中だろうし。とりあえず、メール入れとくか」
平和島静雄はポケットから携帯を取り出し、メールを打ち始めたようだ。これなら、直接私からメールした方が色々と楽なんじゃないかな……?
まぁ、セルティさんの事だから、状況を察して話を合わせてくれるだろうけど。
平和島静雄はメールを送信し終わったようだ。携帯をポケットに戻している。
「メールしといたぞ」
「うん、助かる。ところでさ、どうしてこっち向かないの?」
「あ?……あぁ、……深い意味はねぇよ」
「じゃあ私の方向いて喋ったらどう?」
「…………そう、だな」
平和島静雄は目に服の袖を一瞬あてると、すぐこちらを向いた。いざ正面を向かれると、なんか恥ずかしいような、そんな感じが……。
というか、さっきの仕草……まるで、涙を拭ったような感じだったな。まさか、あの9割方嘘話で泣いた……とか?
「……何まじまじと見てんだよ」
いらただしげに言われた。自分でも気付かないうちに、ジッと見ていたらしい。慌てて謝る。
「ぁ……ごめん……なさい」
「何か、俺の顔についてたか?」
「いや、何もついてないですよ……大丈夫、問題ない」
「ならいいけどよ……」
平和島静雄は、吸っていたタバコを携帯吸い殻入れに入れるとベンチから立ち上がり、伸びをした。
「っ……くぅ〜……!!今日は意外と平和だったな」
「意外……?どうして?」
「いつもだったらよ、ここいらでノミ蟲野郎が出てきたりするからさ……なんつぅか、平和だ」
「……そうね」
確かに、折原臨也が西口公園……いや、池袋に来なかったのはよかったと思う。もし来てたら……それはそれで面白いけど、平和島静雄の投げた物には当たりたくないな。
「それにしても……セルティから返信来ねぇな。やっぱ仕事中か……?」
「そうかも……しれないね」
冷たい風が、西口公園に吹き付けた。
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