露西亜寿司を出た後、私と平和島静雄、田中トムは適当に池袋の街を歩いていた。
すると突然、田中トムが一つ提案をしてきた。
「午後の分は俺一人でも平気だから、静雄は雪華ちゃんと一緒に街を歩いたらどうだ?」
「……へ?」
「意外と池袋の事知らねぇみたいだしよ、案内してやったらどうだ?」
「でもトムさん……」
「平気だって。元々今日はそんなに入ってなかったしな」
「いや、悪いですよ。別に大丈夫ですし……」
「本当に平気っすか?」
私の意見はまたもや無視かい。
「おうよ。ま、ゆっくり見物するといい」
「…………」
「ありがとうございます。んじゃ、遠慮なく雪華にブクロ案内しますわ」
「気ィ付けろよ」
「はい」
平和島静雄の返事を聞くと、田中トムは一人、どこかへと去って行った。
「本当にいいの?」
「あぁ。トムさんが平気っつぅんだから、平気だ」
「……信頼、してるんだね」
「まぁな。トムさんには色々世話になってるし、いい人だからな」
「ふぅん……」
信頼、か……。私とは一生、縁のない言葉だろう。
「どこか行きてぇ所あるか?」
「いや……特にない」
「そうか。なら……西口公園にでも行くか」
「西口……公園?」
「駅ん中通らねぇとなんだけどな。意外と落ち着く所だし、行きてぇ所がないならいいよな?」
「まぁ……いいですけど」
「よし、決まり。ちゃんとついて来いよ」
「は、はぁ」
さりげなくいなくなっても大丈夫そうだな……。でも後がちょっと恐いからやめておこう。まだ折原臨也の所に戻るつもりもないし。ここはおとなしく平和島静雄について行こう。
先に歩き始めていた平和島静雄の背中を慌てて追いかけた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!