DRRR!!夢[臨也] 「……お腹、すいてんのか?」 平和島静雄が聞いてきた。もちろん私は全否定した。 「……いや、そんな事はない」 「でもさっき、鳴ったよな?」 「気のせいです」 「いや、お前のお腹だろ?」 「違います」 「俺にも聞こえたぞ」 何故かトムと呼ばれたレッドヘアーが参戦してきた。 「…………」 「遠慮すんな。ガキは大人に奢られて当然だしな」 「…………」 「恥ずかしい事じゃないしな。じゃあ、ここいらで昼飯にすっか」 「うっす。ほら、いくぞ」 私の意見は総無視ですか。そうですか。 「……この中年から金取ったの?」 「あぁ、取った」 トムと呼ばれたレッドヘアーはいつの間にか、巾着袋を持っていた。 「…………」 まさかの時間稼ぎ失敗。 「ほら、さっさと行くぞ。腹減ってんだよ、俺」 平和島静雄が私に左手を差し出す。いつかと同じように。何となく、それを自らの右手で握ってみる。 ……どうして彼は、手を差し出したのだろう? 昔の事を連想させながらも、握る。それはあの時と同じように、暖かかった。 あの時と同じで、私にはない、暖かさがあった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |