園原杏里に叩き起こされた私は眠い目を擦りながら、後をついてきた。彼女は特に嫌がっている様子もせず、てくてくと歩いていた。
それなりの時間がかかるらしい。結構歩いた気がする。そんなわけで、今は来良学園の校門にいた。
「へぇー……ここが来良学園」
「はい。前は来神高校だったらしいです」
「うん、知ってる」
「えっ?」
「私のお兄ちゃん、来神高校を卒業したから」
「そうなんですか……」
「あ、悪かったね。手間かけさせちゃって」
「い、いえ!全然大丈夫ですよ!!」
「ならいいけど……。時間、平気なの?」
「あっ……」
時計の時間は8時半少し前。園原杏里は慌てた様子で一言いうと、足早に校舎に入って行った。彼女とはアドレスを交換したので、もしもの時はまた泊めてもらおう。
さて、セルティさんに連絡をとってみよう。そう思って携帯を開いてみると……
[Eメール:42件 着信:13件]
それなりのものがあった。
さっき見た時よりも増えてる……。フォルダを開いてみると、予想通り全て折原臨也からのものだった。どんだけ暇なんだ、あの情報屋。もしかしたら、池袋での私の情報を集めてるかもしれない。
……いや、それはないか。とりあえずセルティさんに連絡……。
「お前……もしかして、雪華……か?」
「!!?」
突如、うしろからかけられた声。聞いた事のある声だった。昔聞いたそれと何一つ変わらない、声。
ゆっくりと振り返ると、私と100m程離れた所に、その男は立っていた。
「久しぶり……だな」
「か……門田、京平……!!」
私が、最も会いたくなかった人物。
「覚えていてはくれたんだな」
「忘れるわけないじゃない……。まだ池袋にいたなんてね」
「驚いたか?」
「別に。予想はしていたけど。できれば二度と会いたくなかった」
「お前の言いたい事はなんとなくわかる。でも俺はまたお前と会えて嬉しいぜ」
「知らない間にお世辞が上手くなったわね」
「雪華……」
「私はまだ、あの時の事を許すつもりはないから」
「許される、なんて思っちゃいねぇよ」
「は?」
「お前があそこまで必死になってた理由、わかったから」
「今更わかったって……」
「ドッタチーン!!おっはよぅ!!」
「!?」
「狩沢っ……」
会話を遮るように、狩沢絵理華が爽やかにやってきた。彼女は私の存在にまだ気付いてないようだ。
「なかなか電話に出ないから心配したよー?」
「わ、悪ィな……」
「ま、見付かったからよかったけどねー。……ってあれっ!?もしかして雪華ちゃん?」
あ、気付かれた。
「ぁ……はい……」
「おはよー!もしかすると、ドタチンと話してた?」
「いや、別に話って程のものじゃ……」
「っていうかさ、二人は知り合いなの?」
「まぁ……な」
「えー!!じゃあじゃあ、二人は許婚だったりするのっ!?」
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