「あの……雪華さん、起きて下さい」
「ん……あと5分」
「朝ですよ」
「あと5分したら起きる」
「それ、三回目ですよ……」
さっきから雪華さんを起こしているけれど、全く起きない。低血圧なのかな……?
「……雪華さん、起きて下さい!!」
「まだ……無理」
「…………」
どうしよう……。本当に起きる気配はない。早く起きてもらわないと、私が学校に遅れちゃう。
今日も相変わらず、身体の奥から愛を囁く声が響く。
……そういえば、昨日の罪歌は少しおとなしかった。雪華さんが私の前に表れた時から。人への愛を囁くのは変わらないけれど、それが一段と弱くなっていた。まるで、罪歌が雪華さんを恐がっているかのように。
もしかしたら、雪華さんも人じゃないのかも……。
それより今は起きてもらわなきゃ。私は心を鬼にして、雪華さんの布団をめくった。
「いい加減起きて下さい!」
布団を取ってようやく、雪華さんは起きてくれた。
「おはようございます」
「ん……おはよ」
「あの、私、学校があるので、朝ごはんは他で食べてもらえませんか?」
「えっ?」
「雪華さんがなかなか起きなかったので……」
「……え?」
「時間が……ギリギリなんです」
「……あぁ、学校ね」
どうやら雪華さんの寝起きは悪いようです。
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