「ねぇ……そろそろ帰ろ。コイツヤバいよ」
「ハァ!?別に大丈夫だよ、黒づくめの男じゃないんだし」
黒づくめの男って……もしかして、折原臨也?だとしたら、私は彼と同じ事してるってこと?うわぁ……。
「なんか不愉快。さっさと失せろ」
「別に、アンタが怖くて逃げたんじゃないんだからな!!」
そういうといじめっ子達は逃げるように去って行った。……何だろう、この不快感。
「あの……」
いじめられていた少女が話し掛けてきた。
「何?」
「ありがとう……ございます」
少女はペこりと頭を下げた。
なんか、こう改まって礼を言われるとなんか恥ずかしい。
「いや、気にしなくて平気ですよ。なんか余計な事をしたみたいだし……。さっきのは同じ学校の?」
「はい……。中学の頃から」
「ふぅん……大変ね」
「いえ……もう、慣れましたから」
「……そう」
「どうして、助けてくれたんですか?」
そりゃ気になるよね。初対面だもの。あまりストレートに言うのもどうかと思ったので、適当に誤魔化すことにした。
「……何となく。別にイジメは良くないとか、そういう感じのアレから貴女を助けたワケではないから。そこ重要だから。
ま、簡単に言えば、私の自己満足」
「そう……ですか」
「ガッカリした?」
「え?」
「悲劇のヒロインになれなくて、残念だった?」
「それはないです」
さっきまでのオドオドとした雰囲気が、変わった。
「私は……いつだって誰かの引立て役です。だからって、それを否定するつもりはないんです。だって、私が自分でそう選んだから」
「………」
「あっ……ご、ごめんなさい!!初対面の方に話す事じゃありませんよね……」
この娘……面白い……!!
「いや……全然。そこら辺のにんげんより、よっぽど好きよ」
「えっ……!?」
「私は雪華。貴女は?」
「園原杏里です……」
「杏里……ね。悪いんだけど、今晩だけ泊 めてもらえないかな?」
「今日……ですか?」
「ぁ……無理なら無理って行ってくれればいい。その時は別の人に泊めてもらうから」
セルティさんは人じゃないけど……。
「わ、私なんかで……いいんですか……?」
「こうして出会ったのも何かの縁だし。それに、貴女にすごく興味がある」
「え、えっ!?」
あわてふためく園原杏里。何か可愛いな……。顔を赤くして縮こまってしまった。……遊びすぎたか。
「言っておくけど、純粋に興味を持っただけだから」
「あ…………はい……そ、そうですよね……」
本気に受け止めていたか。まぁ、誤解は解けたみたいだからな。
「で……泊めてもらえる?」
「私の家でよければ……」
「いいの!?」
「はい……」
「助かったよ……」
これで野宿の心配はなくなった。というか、こんな簡単にいったけど、本当に大丈夫なのか……?
「あの……こちらです」
ま、いっか。別に悪い娘には見えないし。平和島静雄みたいな怪力持ちはそううじゃうじゃいないでしょ。
そんなわけで、私は園原杏里の後をついて行った。
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