「……最っ低ね」
雪華はそう言うと、あっという間に俺の前から逃げ去った。
うーん……少し感情的にさせすぎたな。まさかあそこまで険悪になるとは。せっかくいい雰囲気になったのに……
「ほんと、調子狂うなぁ……」
「へぇ〜、イザイザって、シズちゃん以外にも苦手な人がいるんだ」
「あのね、俺だって人間なんだよ?苦手の一つや二つあるんだ………って、え?」
振り向くと、そこには狩沢とドタチンがいた。
「……誰だと思ってたの?」
「…………」
「まぁそんなの深く突っ込んでやるな」
「えー!!気になるじゃん」
「とりあえず狩沢は先戻ってろ」
「しょうがないな……早くメイトに行きたいから、さっさと切り上げてねー!!」
そう言うと、狩沢は思った以上にあっさりとワゴンに戻っていった。
「何か用でもあるの?ドタチン」
「その名で呼ぶな。いや、用って程じゃないけどよ……さっき誰と話してたんだ?」
「……秘密」
「そうか………。一つだけアドバイスしてやる。泣かすなよ」
「………」
ドタチンは一言そう言うと、そそくさとワゴンに戻った。
泣かすなよ……か。それ、もうちょっと前に言ってほしかったなぁ……。
っていうか、もしかして……
「さっきの、見てた?」
ワゴンはいつの間にか出発していたようだった。
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