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DRRR!!夢[臨也]
 


 しばらくの間、ペンと紙の擦れる音がリビングに響いた。


 …………。


 静かだなぁ……。
 この静けさに堪えられなかったのか、紀田正臣が口を開いた。

「……なぁ、何も話さないのか?」

「私は正臣の作業を見てたいな、って」

「そんな見つめられると、なんか照れるな……。ところで雪華さんはどうして臨也さんの所で働いているんすか?」

「んー……」

 初対面に、なんでそんなこと言わなくちゃなのだろう?私よりは年下だろうけど、あんまり年は変わらなそう……。

「強いて言うなら……成り行き、かな」

「成り行き……で?」

「うん、成り行き」

 そんなに前の事じゃないはずなのに、すごく懐かしい気がする。
 確か初めて折原臨也と出会ってしまった時、拉致されたんだっけ……?

 「あの、雪華さんは自分から臨也さんの所で?」

「いや、半強制?仕方なくここにいる」

「そうすか……」

「どうして?」

「深い意味はないんすけど、ただ注意してほしいな、って思って」

「何を?」

「分かってると思いますけど、言っときますよ?」

「……まぁ、聞いてあげる」

「臨也さんとは、深く関わらない方がいいですよ」

「ふむ……なるほどね。確かにそうだとは思うね」

「早いうちに、ここから帰った方がいいですよ

「ふぅん……そう。わざわざ忠告してくれるんだ」

「俺は、昔臨也さんと関わりすぎて色々酷い目に遭いましたから……」 貴「もう同じ目に遭う人を見たくない、と」

「そうです」

「……そう。本当はここから出たいんだけどね。ちょっと面白い約束しちゃったから」

「面白い……約束?」

 紀田正臣と三ヶ島沙樹は首を傾げた。私は特にそれを気に留めず、話を続けた。

「そ。私はね、にんげんが大嫌いなんだ。優しさも、喜びも、悲しみも、怒りも、憎しみも哀れみも楽しみも何もかも全部が。もちろん、好きとか嫌いとかも」

「臨也さんとは、まるで正反対だね」

「そう。折原臨也がにんげんの何処が好きなのか、私にはさっぱり」

「まぁ、あの人はもともとそんな性格っつーか、色々イタイ人だからな」

 アルバイトにまで漏れているのか、その情報は。

「正臣、今サラリと酷い事言ったね」

「いいんだよ、本人がいねーんだから」

 本人さえいなければいいんだ。私は構わず話を続ける。




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