「……貴方、いつも平和島静雄と喧嘩してるじゃないですか。そしていつも上手く撒く。どうして今日もそうしなかったんですか?」
「君がいたからさ」
「……は?」
「正確には、君が近くにいたからさ」
しばらく私はフリーズした。そして一つの結論にたどり着いた。
「……新手のナンパ?」
「アハハッ!!君は面白いことを考えるねぇ。でも違うよ?」
「じゃあなんですか?」
「勧誘、かな?」
「勧誘……?」
「そ、勧誘。君、人間が大嫌いなんだってね?」
「えぇ、そうよ。にんげんが大嫌い。人混みとか苦手」
「あれ?驚かないの?」
「何に?」
「俺が君の人間嫌いを知ってること」
「驚きませんよ。情報屋の折原臨也」
「!!?」
ここで初めて、折原臨也の余裕の表情が崩れた。
「? その反応から見ると、私がただのにんげん嫌いだと思ってたの?」
崩れた表情を元に戻そうとしてるのか、折原臨也は引き攣った顔で私の質問に答えた。
「まぁね……。君についての情報は最近入ったばっかりでね」