「でもね、俺だって人なんだよ?間違いのひとつやふたつ、起こしてしまうさ」
「それ以前に色々間違ってることしてるじゃないの?」
「臨也が言えたことじゃないわね」
「なんかさ、雪華が来てからさらに仕事場での俺の居場所がなくなった気がするよ」
若干涙目で折原臨也が言った。もう騙されないよ、その手には。
「居場所も何もないでしょう」
「いつになったら死ぬの?」
「誰が?」
「貴方が」
「……臨也ね」
「やだ」
「波江がいる時も、って条件に入ってたよ?」
「…………臨也、早く死んで」
「嫌だね」
「……」
コイツは私をイライラさせたいだけなのか?そうなのか?
「ていうかさ、そろそろ解放してくれない?手首がすごく痛いんだけど」
今、折原臨也は縛られていて、正座をさせている。
私と矢霧波江はソファに座ってホットケーキを食べている。
「少しは反省しろ」
「じゃあせめて朝ごはんくれないかな?」
……とりあえずスルーで。
「ねぇ、このホットケーキ、おいしいよ」
「あら?本当?」
「うん」
「そう……なら、誠二の所に持って行きたかったわ……」
「わざわざこの変態の為に持ってきたの?」
「そんなつもりはなかったんだけどね。作り過ぎただけよ」
「なら尚更、弟君の所に持っていけばいいじゃないか」
スルーしたのに話に割り込んできたぞ、コイツ。
「そう思ったわよ。でもあの小娘、朝から誠二の家に居たのよ……!!おかげで誠二に会えなかったわ」
「なるほど。それで俺の所に持ってきたと」
「捨てるのはもったいないと思っただけよ」
「………」
「私が食べてしまって、悪いね……」
「いいのよ。まだチャンスはいくらでもあるし、他の女よりのも私の手料理を食べた回数の方が断然多いもの」