「つまり、落ちそうなイルカさんを、ガラスを叩いて落とした、と?」
「うん、そうだよ。よかったね雪華。念願のイルカさんだ」
「その方法……しちゃダメなんじゃ……」
「いいのいいの。細かい事を気にしてたら、生きていけないよ?」
「それ以前にモラルってモノがあるけど」
「ほーら、店員に見つかる前に帰ろうか」
「一応、自覚はあるんだ……」
「ははっwとりあえず、はい」
折原臨也は取りだし口からイルカさんを取ると、私の前に差し出した。
「そこまで、欲しかったわけじゃないけど……取れたなら……貰っておく」
「どうぞw」
無言で目の前にあるイルカさんを受け取る。
……予想通り、ふわふわしていて、気持ちいい。
「さーてと、シズちゃんに見つかる前に、新宿に帰ろうかー」
「勝手にすればいい」
ようやく帰路に着いた私と折原臨也。
この時はまだ、気付かなかった。否、気付くはずもなかった。