すると折原臨也は、私の肩を掴んできた。そして私を向き合わさせると、頬におかれた私の手に自分の手を重ねた。
……ようは、私の顔に、私の手と折原臨也の手が重ねられている、ということだ。
「〜〜〜!!!!」
「あれ?顔、真っ赤だよ?」
「あ、赤くなんか……ない」
「笑ってよ」
「……は?」
「もう一回、笑ってよ」
「なんで……」
「可愛いから」
「…………しねば、いいのに」
「歯切れが悪いね」
「!!!うるさい!!さっさと手を離せ!!」
「笑ってくれたら離すよ」
「誰が笑うか!!」
「笑ってくれなきゃ、そうだね……何がいいかな?」
「何もするな、ノミ蟲」
「……その呼び方、シズちゃんみたいで嫌だな」
「アンタの好みなんて知るか」
そんでもってお前が嫌がるように呼んでみた。弄ばれるだけで終わると思うなよ。
というのは心の中にしまっておく。
「そうそう。雪華さ、さっきから俺のこと、『臨也』って呼んでくれてないよね?」
「うっ……そ、そんなの関係ないでしょ!?」
「約束だったじゃん。二人きりの時はお互い名前で呼び合おう、って」
「そ、そんなことあったっけ?」
なんか気持ち悪い内容に変わってる気がしてならない……。
「ふぅん……あくまで君はなかったと言い張るんだね?」