折原臨也がエントランスから出て来るなり、PDAを突き出した黒バイクの主。
そんな事は予想済みだったと言わんばかりの顔をして折原臨也は答えた。
「嫌だなぁ、心外だよ。俺はただ身寄りのないいたいけな少女を保護しているだけだよ」
「脅迫して半強制的に、ですけどね」
「雪華……それ言わないでよ」
揺るぎない事実ですから。
『ついに犯罪者になったか、臨也』
「いやぁ、身寄りのない女の子を保護してるってのは本当だよ」
「嘘です。身寄りはないかもしれないけど、自立してます。池袋にちゃんと住んでました」
『ほら、こう言ってるじゃないか!!』
「マンガ喫茶を転々としてたんでしょ?それって本当に住んでるって言えるのかなぁ?」
「っ……!!ど、どうしてそれを……!?」
たしかに、平和島静雄と折原臨也が喧嘩しているのに巻き込まれる前、私はマンガ喫茶を転々としていた。
だけど、折原臨也にはそんなこと一言も言ってない……!!
「だって俺、情報屋だよ?俺が知らないことなんてないくらいだからね」
『ついに犯罪者になったんだな』
「最悪。いっぺん地獄廻ってこい」
「生憎俺にはどこかの闇医者みたいな属性は持ってないから、セルティの言葉に傷付いたりしない。でも雪華の言葉は少しグサッときたかも」
「あっそ。全然嬉しくない」
言葉の攻撃はイマイチ効かないらしい。最近気付いた。
「ツンツンだね〜」
『おい、臨也』
「ん?何?」
その時、黒バイクの主の『影』が折原臨也の周りに現れ、首にナイフのような形のモノが当てられた。
『前にも言ったよな?新羅を貶たら、ただじゃ置かないって』
「いやぁ恐い恐い!!デュラハンを怒らせるのはよくないなぁ」
『怒らせてる本人がヌケヌケと言えるもんだ』
ん?新羅って……?デュラハンって何?
それより、折原臨也は絶体絶命の危機に陥ってたりするのかな?うわぁ、見てて馬鹿らしい。
「ねぇ、雪華?俺を助けてくれたりしないの?」
「えっ?何を期待してるのか、私にはわからない」
「えーっ!?俺の命がピンチだって見てわからない!?」