「今はだいぶ落ち着いてるとはいえ、黄巾賊もダラーズもまだ少し残ってる。外はもう暗ぇし、手前一人で帰るのは危険だ」
「忠告するのは結構だけど、心配はいらない。もう子供じゃないし、身の程はわきまえてる。一人でも平気」
「だけどよ…新宿に住んでんだろ?あのノミ蟲…臨也の野郎がうろついてるかもしれねぇ」
今からそのノミ蟲の所に帰らないとなんだけどなぁ……。さすがにそんなことは言えない。
「……本当に大丈夫だから」
「でもよ……」
「あー、もううるさいなぁ……。貴方に送られるのは、」
「迷惑……か?」
「そうじゃないけど、なんか悪いし」
実際は折原臨也と一緒に住んでいることを知られたくないからなんだけどね。
というかそんな捨てられた仔犬みたいな目で私を見ないで欲しい。
「……じゃあ、他の奴ならいいのか?」
「他の……奴?」
「今から呼ぶわ」
「ちょっ、まだそれで良いなんて言ってない!!」
そんな私のことを無視して、平和島静雄は携帯を片手にメールを打ちはじめたようだ。
……本当に呼ぶつもり?意外と自分勝手だな……。
そんなことを思っていると、すぐに返信がきたようだ。
「大丈夫だってよ。外で待ってようぜ」
「貴方って意外と自分勝手よね」
「……見た目の割に捻くれてるよな、手前って」
「褒め言葉と受け取るよ」
私と平和島静雄は席を立ち、マックの外に出た。外はすっかり暗くなっている。
突然、その暗闇から一台のバイクが私達の前で音もなく停車した。