相手の様子を窺う。すると、彼はすぐに落ち着きを取り戻したようだ。
「……気にくわねぇが、まぁいいか。あ、そうそう、手前さ、俺と前にも一度、会わなかったか?」
「先日のこと?」
「いや、そうじゃなくて、昔どこかで会わなかったか?」
「!?……そんなことは……記憶にない。私は貴方と会うのはこれが2回目」
「ん?そうか……じゃあ気のせいか……」
嘘をついた。これが2回目だなんて、嘘だった。本当は―――。
いや、やめておこう。あの時のことは違う形で忘れないようにしたんだ。
私が、にんげんを嫌いになった、あの日のことを。
「? どうした?小難しい顔して」
「えっ?」
急に話しかけられて驚いた。いつの間にか物思いにふけっていたようだ。
思わず、自分の顔を押さえる。……よし、大丈夫だ。いつも通りになっているはず。
「……っぷ、ぷはっ……っははは」
「っ……なにがおかしいの?」
急に笑い出した平和島静雄に対し、私はイラッときた。
「いや、悪ィ……なんかよ、手前にもカワイイ所があるんだな、って思って」
折原臨也と言い、どうしてこうもスラスラと……。
「……〜〜!!か、からかってんの!?」
「違ぇって。だって手前、会った時から無愛想っつーか、無表情っつーか、可愛げがなかったからよ。堅い顔は似合わないぜ?もっと笑えよ」
「!!……う、うるさい!!貴方には関係ないでしょ!!」
「まぁ、そう怒るなって」
貴方には言われたくない、と言いかけたが喉の奥に抑え込んだ。
このペースで行くと、平和島静雄を怒らせかねない。落ち着け……落ち着け私……。
なんとか冷静になって、シェイクを勢いよく吸い込む。が、シェイクはほとんど飲んでしまい、ストローから僅かに残ったシェイクを吸い込む音が聞こえた。
「……」
「……大丈夫か?」
「……全然大丈夫じゃない」
「そ、そうか……。ポテト食うか?」
平和島静雄がポテトの容器をこちらに差し出す。仕方ないので、一つまみ掴んだ。