「君ってさ、人間が嫌いだって言ってる割には人間を想ってない?」
「そう?私は相変わらずにんげんが嫌いだよ。感情とか。この嫌いって感情さえ嫌い」
「それ、かなり矛盾してるね」
「分かってる。だって私は大嫌いなモノで成り立っているんだもの」
「理解できないなぁ。そんなに人間が嫌いなら、自分が死ねばいいじゃないか」
「それだけは絶対に嫌」
「? どうして?」
「だって考えてみてよ。私が死んだって、世の中は何ひとつ変わらないじゃない。だから自分から死ぬのは、ありえないね。
私は、私が生きているうちににんげんが滅ぶのを見届けたい。できれば、私の手によって滅ぶ姿が見たいね……」
きっとこの時の私は、かなりの悪人面で笑っていただろう。
それでも語らずにはいられなかった。
「だから、私は大嫌いなモノに頼りながら生きているんだよ」
折原臨也は呆気にとられた顔をしている。別にどう反応されようと、私は気にしないが。
そんなことを思っていたら突然、折原臨也は大声をあげて笑いだした。