あれは確か、私が11歳でお兄ちゃんが18歳の時だ。
お兄ちゃんは高校に通うために、家を離れていたんだ。それで、大変なことになったからお兄ちゃんに相談しようとしたら……
「俺には関係ないな。どうせいつものことだろ?」
そう言って見放された。
……そう、この時から、私はにんげんが嫌いになった。
自分の欲にしか興味ないにんげんなんて、**してしまおう。
「フフフッ……案外、寝顔可愛いんだね。いつもツンツンしてるからなぁ……写メしようかな?」
男の声が私に近付き、顔に手が触れた。
「んー、起こすのがもったいないなぁ……」
あれ…?お兄ちゃんはこんな砕けた物言いじゃないような……。それにこの感じ、最近感じた気がする……!!
まどろみから現実へ。
目をゆっくり開くと、黒髪の男が優しげな目でこちらを見ていた。彼は私の顔にかかった前髪をよけると、爽やかに言った。
「あ、おはよう、雪華」
「…………」
「あれ?もしかして低血圧?」
目の前にいたのは、折原臨也……。
「さ、触るなぁぁぁ!!!」
顔に触れられている手を払いのけようとしたら、逆に手を捕まれた。
「なーんだ、結構元気じゃないか。期待して損した」
「ちょっ……離せ!!触るな、近寄るな!!」
「えーwそんなこと言われてもなぁww」
「うるさい!!朝から人の寝顔を覗き込むようなヤツに言われたくない!!」