「その口ぶりだと、バックには誰かいるってことだね?」
「そう。あまり言い過ぎると怒られるけど」
「そうだなぁ……ヒント教えてよ」
「なんで?」
「調べるから」
「断る」
「そりゃ残念だ」
自分のバックを、たとえヒントだろうと教える阿呆がいるわけないでしょ。脅されるなり何なりしない限り。
「とりあえず雪華が罪歌と共存できているのは、罪歌のやる気を奪い、かつそいつの愛を凌駕するほど君はにんげんが嫌いだからなんだね?」
「そういうこと。もういい?」
「うーん……じゃああと一つ」
「何?」
「俺のこと、好き?」
「…………」
最後に何聞くかと思ったら……そんな簡単なことか。言うまでもないけれど、言わないとわからないらしい。
折原臨也の体を強引に近付けた。顔と顔の距離はそんなにない。互いの吐息がかかりそうな近距離。彼のキョトンとした顔がよく見える。大方、私のこの行動に驚いているのだろう。僅かに赤い。
今の私はいつかと同じように、かなりの悪人面だっただろう。折原臨也にかける言葉はたった一つ。
「臨也のこと、大嫌い」
それだけ言うと私は掴んでいた手を離し、座り直した。言われた本人はと言うと、キョトンとしたままである。全く、こういうのは彼の方が慣れてると思ったんだけど……。所詮にんげんってことかな。
しばらくすると折原臨也は笑い出した。
「くっ……くくくっ……あーっはっはっはっはっはっはっ!!!!」
「にんげんが好きすぎてついに頭の螺子が外れた?」
「いや……うん、くくくっ……」
狂ったように笑い出すから怖い。
「何が言いたいの?」
「素直じゃないねぇ」
「……何か大きな勘違いをしてない?」
「してないしてない」
「……そう」
してる。こいつ絶対勘違いしてる。
「俺は雪華のこと、大好きだよ。愛してる」
「それは私が一人のにんげんだからでしょ?」
「どうだろうねぇ……?」
「……馬っ鹿みたい」
私は財布を取ると立ち上がった。
「どこ行くの?」
「用はもう住んだでしょ?帰る」
「へぇ、君に帰る場所なんてあったんだ」
「…………」
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