竜ヶ峰君を自宅アパートの近くに送った後、私はセルティさんが話をしたいと言うのでマンションまで行きました。部屋に入ると岸谷先生がいて、一緒に話すことになりました。
『……と、言うわけだ』
「成る程ね……。お疲れ様。それにしても、杏里ちゃんの指示を無視した『罪歌』かぁ……」
『一体、どうなってるんだ?』
「僕にもよくわからないけど……可能性があるってなら、やっぱ贄川さん……だっけ?あの人みたいな感じの人が出たんじゃない?」
『そうなるか……。杏里ちゃんはどう思ってる?』
「私、ですか?私は……」
セルティさんも岸谷先生も、私の言葉を待っている。手を膝の上で握りしめ、私は自分の思っていることを言った。
「私は……贄川先輩がそんな事をするとは思えません」
『……そう。杏里ちゃんの意見はわかった。とりあえず今日は疲れたでしょ。私ん家でゆっくりと休んで行って』
「ありがとう、ございます」
本当は色々考えたかったけれど、疲れが意外と溜まっていたみたいだったからやめておこう。
私の中の罪歌は、いつも通り、人への愛を囁き続けていた。
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