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DRRR!!夢[臨也]
現在・廃ビルの屋上


「あっ……!」

 カッターと鋏が宙に舞う。折原臨也によって飛ばされたのだ。
 やっぱ、無理だったか……。私の中の『罪歌』はやる気ないみたいだし、ここまでかな。

「どうしたの?威勢の割にはもうおしまい?」

「うん、そうみたい」

「えっ……?」

 拍子抜けたような声を出した。まぁ、そりゃ驚くよね。

「ほんとはさ、貴方を操ろうと思ったんだけど……あの人はそこまで望んでないみたいだから」

「ふぅん……。あの人って誰だい?」

「秘密」

「そう。じゃあ後で調べるとするよ」

「一応、忠告しといてあげる。あの人……私のバックにいる人は調べない方が賢明だよ?」

「へぇ。それまたどうして?」

「……狙われるから」

「俺の事、心配してくれてるってこと?」

 これまでの私なら、今の台詞に全力で無表情で否定するところだろう。でも相手があの人で、状況が状況だからなぁ。

「……そう、かもね」

「えっ……?」

 折原臨也はポカンとした顔でこちらを見ている。……って、そんなに珍しいのか?

「とにかく!私の中には『罪歌』があるってことと、今回のクレイジーリッパーは私が命令した。貴方は私にどうして欲しいわけ?」

 正直、彼が『自首しろ』なんて言うと思えないけど……。
 折原臨也は私に敵意がなくなったことを判断し、ナイフをしまった。そして手を顎に添えしばらく悩んでいると、唐突に言い出した。

「俺のところに戻っておいで」

「……は?」

 今度はこちらがキョトンとする番だった。
 おかしいでしょ。今回の事件の首謀者にその台詞言うの……。

「だって、君はもう罪歌の力を使って誰かを襲うことも、君自身が罪歌を使うことないんでしょ?」

「うーん……それは気分次第、だなぁ」

 私じゃなくて、『罪歌』のだけど。

「なら俺ん家に戻っておいでよ。色々積もる話もあるしね」

「…………」

 本来なら、ここであの人に指示を出してもらうところだけど……ま、いっか。あの人もあの人で忙しそうだし。

「わかった。仕方なく、戻ってあげる」

「あれ?いつもの雪華に戻った?」

「よく考えたら財布を置きっぱなしにしてたし」

「……あぁ、そうだね」

「さっさと帰るよ」

「はいはい」

 折原臨也と共に帰路についた。

 夕闇はいつの間にか完全な闇となっていた。でもその闇の中で、星はより一層強く光を放っていた。




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あきゅろす。
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