「!! ……まさか、そこまでばれてるなんて思わなかったよ、臨也」
「伊達に情報屋やってるわけじゃないからね。今回は少し時間がかかっただけさ」
「そう……。私が門田雪華だってことも、クレイジーリッパーだってことも、一体何処から漏れたんだろう……?後でちゃんと調べなきゃ。でもその前に……『罪歌』が貴方と話したがっているんだよね」
そう言うと雪華は右手にカッター、左手に鋏をそれぞれ取り出した。いつの間にか彼女の目は血のように真っ赤に輝いていた。
「へぇ……。俺はてっきり君のことをか弱い女の子だと思ってたよ」
「平和島静雄の投げたごみ箱が当たっても立っていた時点で、か弱いも何もなかったと思うけど?」
「そりゃそうだ。それよりも、雪華は罪歌に乗っ取られてから随分饒舌になったね?やっぱ今俺と話しているのは罪歌なのかな?」
「違う。貴方と話しているのは間違いなく雪華。私。今はちょっと気分がよかったりするのかも、ね!」
言い終わると同時に雪華は一気に俺との距離を詰めた。右手にあるカッターを俺に向けて突き出している。俺はそれをひょいとかわし、屋上の中央へと移動した。雪華は屋上から落ちるギリギリのところで立ち止まり、態勢を立て直した。
「俺に刃を向けるなんて……悲しいなぁ」
「勝手に言ってろ」
再び雪華は俺目掛けてカッターを突き付けた。
されるがまま、ってのは性に合わないからね。俺もナイフを取り出し、応戦した。
しばらく刃物と刃物がぶつかり合う音が響いた。
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