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Lapis lazuward
02
「桜嘉に持っていこうと思っていたから紅茶にしようと思うけど、馮河はどうする?」

桜嘉は無類の紅茶好き

会長はブラックのコーヒーしか飲んでいるところを見たことがない
壱惟は日本茶
夜(ナイト)は飲めないくせにいつも炭酸系を選ぶ
光(ライト)は甘ければ比較的なんでもOK

馮河は、顔に似合わずイチゴ・オレなんかを好んでいたよなぁ
と思い聞くと、「茶葉なに使うのー?」と聞かれ「んー、アッサムかな」と答えた。


スッキリとした味わいと、クセのない匂いは、今の会長と桜嘉の二人の雰囲気を邪魔せず
穏やかな空気を呼び込んでくれることを期待してアッサムを選んだ。


それに同調したのかわからないが、馮河は

「俺もアッサムでいいよー」

と言い、皆の元へ戻るかと思いきや、準備する俺の手元を目で追うように見ていた。
視線に気づき、顔を上げるとにっこりと笑みを浮かべた馮河と視線が合った。


・・・・・・まあ、いいんだけどさ。


紅茶は煎れるのに、存外時間が掛かる。
ずっとこちらを見ているよりも、座って皆と談話している方が休憩になるだろうと声をかけた。

「わかった。時間がちょっと掛かるから、向こうで待っていてくれ」

「ん」

馮河の返事を聞き、茶葉を蒸らしている間に茶菓子を探そうと脚立の上に乗り
戸棚からクッキーを出そうとしたが、あと少しのところで缶がとれなく
足先を伸ばした瞬間

――ガタン、と脚立が体勢を崩し、その上に乗っていた俺の体ごと倒れた。


「〜〜〜〜〜〜〜〜痛ったァ・・・・・・!」







え?









――どこも、”痛”くない?


――まさか、声を上げたのは、”俺”ではなく





程よくついた筋肉の上に被さる体

かぎ慣れた甘い百合の花と冷ややかなムスクの香り

起き上がろうとして、掴んだ髪はキラキラと明るい金髪で・・・・・・


「――ひょ、うが?」
「優ちゃん、はやくどいてー」


じゃないと死んじゃう。と冗談っぽく言う馮河に、慌てて退くと

脚立と俺の下敷きなった馮河がそこにいた。


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