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Lapis lazuward
01
ぴらん、と一枚の布を手にとった会長は「ふむ」と一頻り眺めたあと

向かい側の一人掛けソファに座る桜嘉を呼んだ


「・・・・・・桜嘉、見てみろこれ」
「え?なにバ会長」


この間までの追いかけっこがなんだったのか、と思われるほど

親密な空気が漂う二人に内心とは裏腹に職務を果たしている振りをしている
生徒会役員たちは気もそぞろに会話を聞いていた。
 
「夜桜学院中等部のセーラー服(白)」

「変態ーーーーッ!!」

ばちーん、と会長の美麗な頬を叩く音が響き渡り、生徒会役員は一斉に桜嘉と会長を仰ぎ見た。


――というか、


「部屋でやって下さい。お二方とも」


ドアの方を指し、書類に判を押す手を止めずに言う俺に続き

「優ちゃんの言うとおりー、こっちがアテられるっての」と不満げなのは、馮河。
「・・・・・・セーラーは紺だ」なかなか渋い意見の壱惟。
「俺はブレザー派」   俺も同意、ナイスガイな夜(ナイト)。
「会長、僕も着るー」  双子の片割れ、天使のような外見の光(ライト)。

生徒会役員は、相変わらず好き勝手に発言していた。

それを会長はフンと一笑し、桜嘉に至っては「ごめん!ごめんな」と必死に謝っていた。


会長の必死の追い込みと、囲い込みの成果か偶に仕事をしに来る会長に付いて
桜嘉が生徒会室にやって来ることがあった。

一般生徒からしたら嫉妬の対象になるだろうが、実際に此処にいることは
生徒会役員以外は”知らない”はずなので、桜嘉も大分警戒心を解いている。

あの涼耶との接触の後、何度か親衛隊からの呼び出しや嫌がらせを受け気の抜けない日々を
送っているらしい桜嘉からしてみたら、まだ此処にいる方が気を抜けるのかもしれない。

そう考えると、仕事の邪魔だとはいえ邪険にしたことは可哀想だなと思い
詫びに甘い紅茶でも煎れようと、立ち上がり備え付けの簡易キッチンで湯を沸かしていると

「俺にもちょーだい」

と馮河がいつもの締りのない笑みを浮かべてやってきた。


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あきゅろす。
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