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Lapis lazuward
16
だが今ここで俺が弁解をしても、話がこじれるような気がする。

涼耶の中で、絶対的な”正”が”悪”に変わることがない限りこの会話に意味はない。

――ならば、

「”東雲”早く寮に戻りなさい。食堂がそろそろ閉まる時間だぞ」

「!……天宮様?」
「え?!もう閉まる時間?」

やべぇ、ちょー俺腹減ってるんだった。
と、先ほどまでの憑き物が落ちたかのように、元の桜嘉に戻っていた。

――良かった。
ほっと、息を吐くと早く此処から桜嘉を出そうと、桜嘉の背を押しながら


「ああ、だから早く寮に戻れ」
「え、アンタは?」


飯食ってねーじゃん?と心配気にこちらを見上げた桜嘉の小さな優しさに、くすりと笑みが零れた。

「涼耶に話があるから、後で食堂に行く。先に行ってろ」

と俺は桜嘉を突き放した。

「うーん、わかった。じゃあまたな!優!」

にかっと、太陽が一瞬鋭く光るような明るい笑みを浮かべると
走って寮へ向かう桜嘉の背中が見えなくなるまでしっかりと見送った。


――ってあれ?
おいおい、いきなり呼び捨てかよ?!

……まあ、いいけれど。


「宜しいのですか、天宮様」


邪魔された、そんな表情を浮かべるほどこの男は甘くはない。

どこまでも、天使のような綺麗な笑みを浮かべながら汚い作戦を裏で考えられるような人形だ。

「……俺の親衛隊には、”触れちゃいけない”なんていう法度はないんでな」
「――!!」
「涼耶、お前がどう動こうと俺の知ったことではない。
けれど、”友人”を傷つけた時、俺は全力でその友人を守るからな

――覚悟しろよ」

そう涼耶のさらさらなプラチナブロンドに手を置くと、俺も桜嘉同様にその場を後にした。







「……絶対に赦さない!東雲桜嘉に天宮優!!

会長の心を占めるのは僕一人だけで充分なんだよ!」


ガンっ!と、蹴り上げられた秘密扉には、大きな穴が開いていた。

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