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Lapis lazuward
13
「御機嫌よう天宮”様”――と、側に居られる方は?東雲さんですか?」

「ああ!!?様だあ?!誰だよアンタ?」

そこにいたのは、生徒会会長親衛隊隊長――1年の涼耶(すずみや)だった。

プラチナブロンドに、スターサファイアのような
吸い込まれそうな紫色の瞳の中央に、星のような輝きが見られる不思議な瞳を持つ。

折れそうなほど華奢な小柄だが、その意思の強い瞳は悠然と俺を捕らえていた。

通常は2年が隊長を勤めるが、涼耶に関しては皆黙認していた。

こいつが、理事長の甥だからだ。

「よくお見つけになれましたね天宮様。会長もさぞ喜ばれましょう」

そう涼耶は、桜嘉を見つめながらにっこりと微笑んだ。
さも、人形が微笑んだかのような笑みに、つい目を逸らした。

外見は似ているのに、うちの天使(ライト)とは大違いだ。

桜嘉は、この現状をあまりよく理解できていないらしく
しきりに「様ってなに?!様って!?」と連呼していた。

「……桜嘉、落ち着いて聞いてくれ」
「なんだよ?」

桜嘉が俺の方を振り向き、赤茶色の瞳とかち合った。

曇りなく俺を真っ直ぐに見つめる桜嘉の瞳が、もしかしたら変わってしまうかもしれない。

俺は、お前に幾つも隠し事をしているから。

お前のことを知っているくせに、自分自身のことは黙っている俺は
――人がよくないのかもしれないな。


「まさか、東雲さん……天宮様が生徒会副会長様だと知らなかったのですか?」


唐突に口を挟んできたのは、天使に良く似た外見の人形、涼耶だった。

おいおい、俺が穏便に話しを進めようとしていたんだがな……。
ちょっと黙っていてくれないか、と口にしようとしたとき

「おい、副会長って誰のことだよ?」

と、桜嘉の声が先に涼耶に向いてしまった。
まずい、あまりこの二人を近づけてしまったら――。

「?貴方の後ろに居られる方のことですよ?」

桜嘉の疑問に、不思議そうな顔を一瞬浮かべたが
すぐに丁寧に俺を手のひらで誘導する涼耶は、まだ学園に慣れていない桜嘉を
少しも鬱陶しがらずに、上品な表情のまま答えた。

そして、涼耶の手のひらで誘導された桜嘉の視線は
俺を捉えた。


「……ああ、俺のことだ」

なあ、レプス。
お前は俺をどんな風に捉える――?

この問いは、二回目になるよな。

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あきゅろす。
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