[携帯モード] [URL送信]

Lapis lazuward
12
身支度を簡単に整え、ぴこぴこと光る携帯を開くと

「うあ・・・・・・」

と、つい声が出てしまうほど膨大な着信数とメールの件数が表示されていた。


そのうち、七割が銀慈。
二割が生徒会役員。
そして一割が、会長だった。


しばらく携帯の画面を『じっ・・・・・・』と見つめ、悩んだ末に
見て見ぬ振りをして、携帯を閉じた。

そうして、ストラップに戻しておいた黄色の石を手に取った。

「うわあ!またアレが出来るのか?!」

俺の手のひらの中の黄色い石を見つけ、目を輝かせている桜嘉はあのすり抜けを
どうやら気に入ったらしい。

「ああ、これでないと外に出れないからな」

そういってランプを消し、入るときと同様に黄色い石を持つ手を前に出して白い壁を二人ですり抜ける。

「なんだ、案外呆気ないものだな」

さっきは、あれほど手が透けた!だのなんだのと、騒いでいたくせに
慣れてしまうと、呆気なく感じるものらしい。

「いや、これから此処を閉じる。危ないから俺の後ろにいてくれよ」

万が一のために備え桜嘉を俺の後ろに立たせ、一息吸ってから

”開放”とは逆の言葉を唱えた。

「”我、神聖を冒す者。聖石に逆らい戦乱を熾す地よ いざ閉じられん”」

そう言葉にすると、下に開いた扉が再び元の位置に戻った。

太陽の光を閉じ込めた赤い石も扉のくぼみに残っていたが、光は既に消滅してしまっていた。

「へぇ、二枚扉になっているんだ」
「ああ。開ける”言葉”と、閉じる”言葉”が必要らしい」
「すげー!!この学校ってこんな面白い学校だったんだな!」

生徒会に追いかけられたり、会長にセクハラされたりして
嫌な思いはたくさんしているだろうに、そう無邪気にいう姿に
俺はなんだか少しだけ居た堪れなくなった。


「桜嘉・・・・・・」


その時、俺が何を言おうとしていたのか
――それを知っているかのように、そいつは現れた。


桜嘉に会わせたくない人物が、俺の目の前にいた。

[←][→]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!