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Lapis lazuward
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「おーい、起きろ桜嘉」

「んん〜…まだ、寝かせて…」

ラグの上で二人仲良く寝てしまっていたが、時刻はもう18時を回る時間だった。
そのことに驚いた俺は、3時間以上寝てしまっていたことに唖然となる。

夜、寝れるかな……。
まあ、寝れなかったら徹夜で朝までゲームしていればいいか。


・・・・・・その判断が、後の”恐ろしいこと”を招くとは
――そのときは、気づかずに。


「桜嘉、起きろって」

桜嘉の華奢な肩を揺さぶりながら、何度目かの声をかけた。

「ほぇ……おはよー」

うっ、めっちゃくちゃ可愛い!

大きな瞳から涙を零して、眠っていたからかほんのり蒸気した頬。
口を半開きにして、言うその姿は、誰がどうみても可愛い子!!だった。

「もう18時を回っている。寮に戻るぞ」

俺は、ある程度どうにでもできる生徒会役員だが、桜嘉は違う。

一般生徒の場合、門限は22時。
夕食の時間が19時だから、今から帰れば充分間に合う時間だ。

「んん〜・・・もうそんな時間?道理でお腹が空くわけだ・・・」

寝起きのぼんやりとした声で、桜嘉はいうと


「ああ、だから早いところ食堂に行かないと食いっぱぐれるぞ」

「えぇえええええええええええ?!食いっぱぐれるなんてあるの?!
信じられない?!此処、食費含めて凄い金額の坊ちゃん学校なんでしょ?!ぼったくり過ぎ!!」


と、少々観点が異なるところに、桜嘉は怒り心頭のようだ。

どうやら、食べることが趣味のような桜嘉には食事ネタは、沸点が低い位置にあるらしい。

「なーなー、赤飯とかおこわとか、石焼ビビンバとかあるかなー?」
「あれ、桜嘉は食堂行ったことなかったっけ?」

たしか、そこで会長と会ったんじゃ?
と俺が聞くと、桜嘉は嫌なことを思い出したかのように苦虫を潰した顔で

「バ会長が来たせいで、俺あの日の昼飯はちみつ水だけだった」


ああ、注文した後でボーイが運んでくる水だけだったのか・・・・・・。


「それからは?」
「同室の一二三(ひふみ)っていう友達の部屋で大豆バーとか齧ってた」

つまり、まともに飯も食べれていない状態なのか。

――でも、ある意味部屋に逃げ込んだ桜嘉は賢い。

”あいつ等”に目をつけられていない今は、まだ安全圏にいるといっても過言ではないからだ。

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あきゅろす。
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