Lapis lazuward
06
生徒会の皆を犠牲にして、一人逃げ延びた先は
屋上に行く手前にある秘密扉だった。
先代の理事長は、隠し扉を設けるのが好きな人だったようで、
学園中にそれとみられる扉はいくつもあった。
その中でも一番見つけやすそうで、開けるのに一癖あるこの扉を一番のお気に入りにしていた。
携帯のストラップにしている二つの石の内透明な赤色の石を一つ外し、
屋上の扉を開けて太陽光が溢れる場所で暫く光が溜まるのを待つ。
持ち方に関係なく石の中で光が溜まると、ぽうと灯りが点ったように明るくなる。
その間に、秘密扉の中央の窪みにそれを嵌めると・・・・・・
ガガガっと、最初の扉が音を立てて下に扉が飲み込まれていった。
これが、一枚目。
次に現れた白い扉を前に、俺はストラップについているもう一つの黄色い石を外した。
大理石のような少し柔らかめの石の表面には、先ほどのような窪みはなく
絵のようなものが上部に描いてあるだけだった。
「”我、神聖を冒さざる者。聖石と共に平穏を守る地よ いざ開かれん”」
ヒエログリフ(神聖な文字)と呼ばれる象形文字で書かれたそれを読み解くには時間がかかったが
『文字を読むもの 汝 この文字を逆から読み上げよ』
と書いてあることがわかり、言葉を読み上げるとすぐに石自身が発光し
それを持つ手を入れることにより扉があるにも関わらず、扉をすり抜けて入れることができるのであった。
こんな、わかりずらい仕掛け。
一体誰が仕掛けたのやら……。
石は最初の扉に二つ置かれていたから、すぐに解けるだろうと思い気分転換にはじめた謎解きだった。
……だが、半年もかかるだなんて思ってもいなかったがな。
部屋の中は、案外広く10畳は余裕でありそうな広さだった。
電気も通っているし、普通の一人暮らしの部屋のようだ。
まあ50畳以上はあるふざけた生徒会室に比べれば狭いんだろうけれど。
ランプのスイッチを入れ、オレンジ色の明かりが部屋を灯すのにほっと息を吐いて
白いラグの上に寝っ転がった。
目を閉じても思い浮かぶのは、傷ついたような顔の銀慈の顔ばかり。
――あの時、嘘を吐いてしまった。
しかも、自分の身を守るために。
「サイテー……」
そう息を吐いて、身を縮こませた。
銀慈の香水の匂いが制服から漂い、その匂いに包まれて俺は目を瞑った。
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