[携帯モード] [URL送信]

Lapis lazuward
03
「……俺、ちょっと寝てくる」

一気に脱力感が押し寄せてきた俺は、気力回復のために保健室へ行こうと決意した。

ここの所忙しすぎて寝る暇もなく資料を作っていたのだから。

会長の話だって、尊敬するあの人の言葉を一言も漏らさずに聞いていたかった
けれど、その気持ちを上回るくらい眠たかったのだから仕方がないと思う。

俺が暴走し始めたことに気づいた銀慈は

「保健室?」
「ん」

それだけ聞いて、一緒に保健室までついて来た。
こうしていると、大きな銀色の毛の犬が後ろからついて来ているように思える。

保健室は閑散としていた。表に『外部訪問中』と札がぶら下がっていたから
保険医の姿はなかった。だが、鍵は開いていた。
もしかしたら、先客が来て先に鍵を開けていたのかもしれない。

――それとも、まだ”先客”はいるのか?

「超ねみぃ……。銀慈、悪いけど一時間経ったら起こして」

保健室のふかふかな真っ白い掛け布団を持ち上げながらそう言うと
銀慈は、俺の言葉を曖昧に「ああ」と返事しながら机の下などを
注意深く見ているようだった。

そんなところに隠れていたらとっくに見つけているだろうさ。

俺だったら、机の下とかよりも布団にくるまれながら寝て隠れていたいけどな。
ちょうどこのベッドの上で。

「いてっ!!!」

「え?」

足を伸ばして、いざ眠りの体制に入ろうとした俺の声ではない少し高めの声が
保健室中に響き渡った。

「そこか」
「え、ちょ、銀慈?!」

下を捜索していた銀慈が俺の掛け布団を床に引っぺがし、逃走を図ろうとした
小うさぎ(レプス)の肩を掴み、ベッドに顔を沈没させた。

「うあ……。大丈夫か?レプス」

いくらベッドとはいえ、勢い良く顔面から押し付けられたら相当痛いだろう。

「ふぐっ、ふごごご、ふぐっふっ……!!」

いや、なに言っているのか全然わからないから。

とりあえず、献上する前に逃げられたら困るから腕を縛れるものでも探そう。

そう思い立った俺は、勝手知ったるなんとやらの勢いで白い戸棚から包帯を取り出すと
肩と頭を抑えている銀慈に目配せし、暴れる小うさぎ(レプス)の両手首に巻きつけた。

ちなみに、ベッドとも仲良く結びつけたから小うさぎ(レプス)ちゃんは
ベッドの上で座る形だ。

よし、とりあえずこれで逃げることは困難になったよな。

[←][→]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!