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Lapis lazuward
04
そのまま銀慈の横を通り過ぎようとしたが、腕を取られ灰蒼色の瞳と相対した。


「優・・・・・・!!」


困惑したような、落胆したような、哀しげな色を浮かべた銀慈の瞳を直視できず
さっ、と目を逸らした俺は臆病者だと痛感した。

「大丈夫じゃないときに限ってお前は、大丈夫だというだろ」

「そんなことないよ。・・・・・・腕、離せよ銀慈」

ぎりぎり、と音がするような強さで掴まれていた腕は俺の声により
力加減を忘れていたのか、ハッとした顔つきで銀慈が力を一瞬緩めた。

その僅かな瞬間に、腕を自分の元に引き寄せ銀慈の拘束から逃れた。


「なにも心配いらないって。俺の”日常”は壊されることなく平穏に過ぎていくばかりだよ」

「・・・・・・本当にそう思っているのか」

「思ってる。綺麗でも、腹黒でも、笑顔を貼り付けている何処かの副会長でもないからな」


「・・・・・・転入生に熱を上げているわけでもないし?」

「小うさぎ(レプス)は可愛いと思うよ」


そう返すと、銀慈は肩を竦めて「まあ、な」と返した。

そんな俺たちの会話を聞いていた、外野からは

「小うさぎちゃんは俺のだからなー!」というナンパ師の声や
「否、自分のものですよ」という淡々とした声
「お前らなんかじゃ釣り合わねぇーっつの!」というナイスガイの声
「僕もお友達になるの!」という可愛らしい声が上がった。


各々好き勝手に”自分のもの宣言”をしたせいか、


一番はじめに所有物発言をした隣室で寝ていたはずの会長様が目を覚ました。

ゆらり、と寝起きの不機嫌さと相まって、恐ろしいほどの冷気を漂わせていた。


「お前ら、覚悟はできているな」


調教用の短い鞭を撓(しな)らせ、魔界から降り立った魔王のような妖艶な笑みを浮かべた会長様は、
引きつった笑みを浮かべる生徒会役員へお仕置きを開始した。

ドア付近にいた俺は、『悪い!』と思いながらも、逃げるように生徒会室を後にした。

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