Lapis lazuward 03 夾に襲われて、白竜のそっくりさんが出てきてその後俺は会長の腕の中で 意識を失った――ことなど、どうやって親友に伝えればいいんだ。 平凡な男の俺が、男に襲われて。 挙句の果てに、昔の自分のあだ名でそっくりの外見の偽者が出てきて。 会長の腕の中で気を失ったかと思えば、会長のベッドで二人並んでおねんね。 だなんて言えるか!!!! 「か、会長の世話になった」 「……それだけ?」 それだけってなんだ?それだけ?って。 「馮河や壱惟と応戦した夾は、その時点で足の骨にヒビが入っていたらしい」 そうだよな?と、銀慈は馮河と壱惟に目配せした。 「ああ、小うさぎちゃんと一緒に逃げられないように集中的に攻撃したな」 「同じく」 夾の奴、足を攻撃されていたのか。 でも、俺の前では普通そうにしていたように見えたけどな。 「優は帰ってこない。会長は保健室を素通りする。足を怪我しているはずの夾が元気に構内を駆け回っていた」 うわ……不気味だわ。最後の特に怖ぇな。 「優、なにがあったんだ?」 親友の目は、真剣だった。 本当に、心から俺の身を案じてくれていることが感じられた。 でも、だからこそ、心配をかけたくなかった。 「大丈夫だよ銀慈、俺はなんともない。会長と夾はわからないけれど、 俺は過労で倒れて会長の部屋に泊まらせてもらっただけだよ」 どうしたんだよ、銀慈。と銀慈の肩を叩きながら俺は言う。 ごめん、銀慈。 いくらお前でも、心から信頼しているお前でも、俺は言うことができなくて ごめんな、銀慈。 [←][→] [戻る] |