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Lapis lazuward
01
最近転入してきた生徒が、変装をしていた。
もじゃもじゃ毛玉頭に瓶底眼鏡という斬新な格好でだ。


それを見つけたのは、我らが生徒会長で――


その転入生が実は長年会長の追いかけていた人物だった。

それだけでも学園にとっては大きなニュースなのに、
小うさぎ(レプス)が逃げ回るものだから、生徒会は兎狩りで大騒ぎになっている。


ああ、今もだ。


「なあなあ、小うさぎちゃん見つけたか?」

そう言うのはこの学園では珍しい、女好きの馮河(ひょうが)だ。

毎週土日の夜は町に降りて、可愛い女の子を整った容姿と話術で巧みにナンパを成功させているらしい。

だが、今は小うさぎのことで頭がいっぱいのようで、隣の席の
雷鳴双子兄弟の弟雷鳴 夜(らいめい ナイト)に話しかけていた。

「いや、お前は?」

書類の合間合間に顔を上げて、夜は会話を続けていた。

最も、要領のいい彼は書類などとっくに仕上げており、
小うさぎのこれまで行った行動パターンを纏めていたのだが。

ごつい外見に見合わず、実にデータ派だ。


「副会長、この書類仕上がりましたのでレプス捜索に向かいます」


唯一、名前ではなく俺のことを”副会長”と役職で呼ぶのは、短髪で黒髪の壱惟(いちい)だった。

「ああ、不備もないし構わないよ。気をつけて」
「はい。では失礼します」

今まで小うさぎ(レプス)こと、”東雲 桜嘉(しののめ おうか”の捜索に
あたっていた生徒会役員が、俺が過労でぶっ倒れた(※前回参照)ことから

会長直々に”自分の仕事が終わってから”レプス捜索を行えとの通達が下った。

そのため、各々自分の仕事を終えてからレプス対策の行動をとっていた。


うんうん、壱惟はいつ見ても礼儀正しい良い子だよなぁ。

隣室でサボって寝ている会長様に見習わせたいくらいだよ。


まったく……、と俺が小さくため息を吐くと。


「優ちゃ〜ん?どうしたの?おめめが、真っ赤だよ?!」


天使のような神々しい神様の子が、目の前で俺の顔を覗き込んでいた。
雷鳴双子兄弟の兄、雷鳴 光(らいめい ライト)だ。

弟の夜と全く同じ顔の一卵性にも関わらず、こちらがフランスの絵画に出てくるような

天使ならば、夜は戦争映画に出てくるようなイケメンのくせにむさ苦しい金髪のナイスガイだ。

同じ顔なのに、性格が異なるとこうも違うものなのかと、ついついこの二人が揃っていると思ってしまう。


「優ちゃん、優ちゃん大丈夫?」


こてん、と首を横に曲げて心配そうに見てくる天使に俺は思わず笑みを零した。

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あきゅろす。
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