Lapis lazuward
09
その上、キョウと一戦交える時に必ず俺が言っていた――
「”キョウ、また悪さしているのか?”」
くすっ、と口元を上げて笑う仕草すら真似できるらしい。
「白竜!!待ってくれ、俺はずっと、お前を捜していたんだ!」
そう言って、夾は第一音楽室を出て行った白竜(?)を追いかけていった。
ばたばたばたと、二人の駆けていく音がだんだんと小さくなっていった。
「……」
ぽかーんと、口を開けて成り行きを見ていた俺は、
何がなんだか状況が全くわかっていなかった。
「おい」
だから、会長の声が聞えなくてもおかしくはない。
ああ、全くもって。
「またトリップしてやがるのか……使えねぇ」
――ああ、だが。
そう言って、会長は眠気でぼんやりしている俺の顎を掴んで
『あれ、この感覚さっきも味わったような……』
いつの間にかゆっくりと唇が重なり合って、「桜嘉を見つけたことは褒めてやろう」
目の前で超絶美形の会長様が珍しく頬を緩めて笑ってらっしゃった。
もう、何がなんだかわからなかったが。
俺もつられて、へらっと力なく笑った。
その後は、眠さのあまり意識を失くしたから細かいことはわからなかったが
次の日から”白竜捜索隊”というものが、夾名義で立ち上がっていることは
会長の部屋で惰眠を貪る俺はまだ知らなかった。
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