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Lapis lazuward
02
結果から言えば。
動かないわけがなかった。

相手は俺含め、生徒会全員から追われている立場の人間だ。
悠長に動かないでいたら、こちらの思うつぼ。
すぐに神山会長に献上だからだ。

「優!」

遠くで、耳慣れた声がした。
振り向くと、秀麗な顔はそのままの白銀の長髪を靡かせた
親友がそこにいた。

うーん。いつ見ても、この親友は綺麗かっこいいと思う。
さすが、この学校の生徒会役員とだけはある。

うちの学校は人里離れた男だらけの全寮制学校だ。
そんなところに、わけ有りの金持ちの坊ちゃんばかりが集まり
勉強に飽きた子供が求めるものといえば、在り来たりのものだ。

そう――”恋”に”心を震わす遊び”だ。

だが、男ばかりのこの学校で異性と恋をするのはなかなかに難しい。
隣を見ても、男。前を見ても男。後ろを振り返っても男の状態。

段々この生活に慣れてきた兵(つわもの)達は次第に活路を見出す。
そう、男同士の恋愛でも平気という活路を……。

いくら男といっても、それぞれに好みはある。
その中でも、綺麗な人間が秀でて人気なのはどこの世界でも共通なこと。

人気のある生徒や、優秀な生徒を守る名目も含め、生徒会は存在した。

見た目、中身ともに平々凡々な俺がなぜ、その生徒会に在籍しているのかは
会長に聞いてくれ。


銀慈と俺とじゃ、月とスッポン。
比べる方がおこがましいほどの差だ。


俺の思考を他所に、銀慈は走ってきたにも関わらず息も切らずに

「なんで此処に?」

そう尋ねてきた。

「銀慈、お前も駆り出されていたのか。どうだ見つかったか?」
「”お前も”ってことは、優もとうとう捜索に回されたか」

ん?
なんか今、変じゃなかったか。
引っかかったものを感じ、まさかと思いながら銀慈に疑問をぶつける。

「まさか、俺以外のやつら三日前からずっと捜索に回っていたのか?!」
「ああ」

なんだそれー!?

この三日間”俺以外”の生徒会役員がくそ忙しい生徒会室に来ないと
思っていたら、ずっと転入生探しをしていただと?!

ふ、ふざけた奴らだ……!

その間、誰もいない生徒会室で一人黙々と資料を集め、作成し、コピーをして
準備をしていたのは誰だと思っているんだ……!

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あきゅろす。
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