Lapis lazuward
05
うんうん、我が親友凄すぎるぞ。
と俺が一人唸っていると、銀慈の言葉に出てきた大物人物にようやく気づいた。
――ん?”キョウ”だあ?!
一二三 夾こと”キョウ”は、レプスと同様にLoveless,の幹部クラスだ。
レプスは幹部に気に入られ、幹部クラスしか会話できないという意味での幹部クラスだったが、
キョウは正真正銘、人物・腕前共に認められた幹部の一員だった。
そして、俺の心の中での一方的なライバルだったりもする……。
同じ総長の片腕でありながら、キョウは自ら突っ込んで敵地の敵を蹴散らすのに
対し、俺は総長の護衛のために一歩も動けない片腕だったからだ。
総長に向かってくる敵は捨て身の攻撃が多いから、どちらかというと
俺は攻撃するよりも”攻撃を受ける”方だったりする。
そう、総長は俺を肉壁にしながら身を守っていたのだ。
ホントSだあの人は……。
「ちっ、せっかくあの二人から逃げてきたのに……!」
心底悔しそうに言う小うさぎ(レプス)の運命はもう決まってしまっている。
会長にはさっき連絡したから、すぐに此処に駆けつけるだろう。
残念だが、もう逃げる道はこの小うさぎにはない。
せめて、怪我をしているらしいキョウを助けてやろうと俺は
そこら辺にあった救急箱の中身を確かめて銀慈を呼んだ
「銀慈、俺キョウの様子みてくるから、あと頼んだぞ」
「……優が行かなくてもいいんじゃねーの」
「ばか、怪我しているんだろ?」
それに純粋にキョウに会いたかったのもある。
キョウに会うのも二年ぶりだ。
あの紅蓮の髪をした悪ガキが今、どんな風になっているのかという好奇心もある。
「♪〜」
つい鼻歌を歌ってしまうほど、気分は良い。
そんな俺の上機嫌に反して、銀慈の機嫌は悪そうだった。
まあ、帰ってきたら機嫌も直っているだろ。と軽い気持ちで保健室を出て
「行ってきまーす♪」と、遠足に行くようなルンルン気分で第一音楽室を目指した。
[←][→]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!