無双☆短編 スノウ。(望陸) 「…陸遜」 寒い冬の日。 雪が積もって辺りは真っ白い。 隣に立つ貴方が私を呼ぶ。 息が白く染まる。 スノウ。 「…どうしたんですか?………太公望殿?」 隣を見ると貴方は私を見てはいなくて、ぼんやりと雪ばかり見ていた。 「…あ……すまない。少し考え事をしていた」 申し訳なさそうに、雪のように真っ白な髪を掻く。 貴方の癖。 「何を考えていたんですか?」 貴方の顔を覗き込む。 「――私はお前を愛せているか…?」 「…え?」 疑問を疑問で返された。 ついキョトンとしてしまう。 「…クク」 そんな私が可笑しかったのか貴方は笑う。 雪のように冷たく。 貴方は仙人。 不老で不死。 死ぬ事は無いのだから、二度と会えなくなる別れの寂しさも、死への恐怖も、出会いの喜びも―――無い。 貴方には感情が無かった。 人を愛する方法も知らない。 そんな貴方に私が出来る事、それは愛する事。 愛を感じて、愛を知って欲しいから。 貴方を好きに成る程、私の心の中は愛情で溢れた。 貴方は感情の無い仙人では無くなった。 さっきの質問の答えは、たった一つ。 「――はい。もちろん」 貴方が微笑んだ。 仙人と人間が愛し合うこと それは素敵なことです End [*前へ][次へ#] |