[携帯モード] [URL送信]

無双☆短編
琥珀な正午 (趙陸)
 
 
コンコン。
 
 
うとうとしかけた正午。
扉を叩く音で、目が覚めました。私は急いで立ち上がり、扉へ向かいました。
終わらなかった仕事の山は、机に放置で。
 
 
 
ガチャッ
 
何かご用ですか?と言いながら開いた扉の向こうに、琥珀色の瞳。目を疑いました。
「ちょ……趙雲殿?!」
「やぁ、陸遜」
あの爽やかな笑顔は、紛れも無く趙雲殿。彼は私の恋人です。
「なっ何故こんな所に?!」
「もちろん、あなたに会いたくなったから」
「そんな理由で?!」
趙雲殿は蜀で、私は呉。
会いたくなった、という理由だけで行き来が出来るほどの距離ではありません。
ホント、無茶をする人です。
 
「伯言は、私に会いたくなかった?」
「そんな事ないですよ!……えっと……しりゅ…う」
突然、字で呼ばれてドキドキしてしまいました。
やっぱり字は、呼ぶのも、呼ばれるのも苦手です。
そんな私を見て、趙雲殿は笑っています。
「…そんなに笑わないで下さい」
ちょっと膨れっ面をしてみました。子供っぽかったでしょうか。
「ごめん、ごめん」
そう言って、趙雲殿は私の頭を撫でてくれました。
 
 
「あっ…もしかして、仕事中だった?」
趙雲殿が指差したのは、私の机。木簡や書物でほとんど埋まっていますが。
「…はい。今日中に終わらせないといけないものもあるので」
「じゃあ、私が手伝おうか」
手伝うと言っても、趙雲殿は私の横に座っているだけです。でも気持ちはうれしいです。
 
仕事に取り掛かる私の横で、趙雲殿は私の髪についている髪飾りをいじったり、三つ編みを引っ張ってきたり。なんか、邪魔されている気がしないでもないような…。
 
 
「あ゛っっ!!」
 
突然、趙雲殿が声を上げました。何があったのかと驚いて、私は横をみました。すると、目の前に趙雲殿の顔が…
そのまま口付けされてしまいました。…騙された。
 
「・・・・」
沈黙。今起こった事が早過ぎて、思考がついていけません。突然の口付けを怒るべきなのでしょうか。
 
 
ぐるるるきゅるるる
 
 
「………は?」
沈黙を破ったのは、趙雲殿のお腹からの音。
「あ…あはははは!ちょっと朝から何も食べてないもんで」
「えっ?!あははじゃないですよ!!そーゆー事は、もっと早く言って下さいっ」
朝食も食べずに、急いで呉に来たのですね。趙雲殿らしいといえば、趙雲殿らしいです。
 
 
私は筆を置いて立ち上がりました。
「とにかく何か食べましょう!何が食べたいですか?」
 
 
しばらく沈黙。
…あれ?私、何か変な事言ったでしょうか。"何が食べたいですか?"って言っただけのはずなんですが。
すると、趙雲殿が意味ありげに微笑み、
 
「陸遜♪」
と言いました。
「……………はい?」
何を言っているんだ、この人は。
「私を食べるんですか?…ステーキにでもする気ですか」

「違う違う違う!そーゆー意味じゃなくてっ、えーと…他の言葉で表すと…"抱く"?」
「………?私を抱きたいんですか?…お姫様抱っこはやめて下さいね」
「だーかーらー違うっ!!」
意味が分かりません…。趙雲殿は一体何が言いたいんでしょうか。お昼ご飯が食べたいんじゃないんですか?
「用するに、陸遜とヤりたいってこと!」
「…や…殺りたい…?だっ誰を殺るんですかっ」
「ちがーーう!!!だからっ、こーゆー事なのっ(怒)」
「…………へ?」
突然、寝台に押し倒されてしまいました。
趙雲殿が私の服を脱がそうとしています。
あぁ!そーゆー事ですか!
………ってそんな場合じゃないっ!

「ちょっ…ちょっと!趙雲殿!ストップ!」
止めろ、と言っただけで趙雲殿が止めるとは思えません。
「止めないよ♪」
…やっぱり。
「でもっ……今、昼間ですよ?!だっ誰かに見られたらっ…」
どうやったら、諦めてくれるんでしょうか。
「じゃあ、夜ならいい?」
………え゛。そうきましたか。
私が答えられずにいると、趙雲殿は嬉しそうに笑いました。
「夜にしよっか♪」
勝手に決められてしまいました。こうなってしまうと、趙雲殿は誰にも止められません。
嬉しそうですし、まあ、これでいいんでしょうか。

「さ、お昼ご飯食べに行こう♪」
「…はい」

笑顔の趙雲殿。
自然と私も笑顔になりました。




その夜は……




             −END− 

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!