笑顔の君(山本武)
「あ……山本君だ…」
窓からグランドを見ると、野球部が練習してるのが見えて、私と同じクラスの山本武君が頑張ってる姿が目にとまった。やっぱり山本君は凄くカッコイイ。
「野球頑張ってるねー」
「そうだね……」
「凜!タオル渡してきなよ」
「えぇ!?む、無理だよ!」
ぼーっと山本君を見ていたら、親友の美姫が話しかけてきて、しかも無理難題を出してきた。私なんかが山本君に近づいたらファンの人に申し訳ないよ。
「もうー自分から行動しないと気付いてもらえないよー?」
「うん…」
わかってる、私から行動しなきゃ山本君は私の事なんか気付いちゃくれない。その日は塾の間中ずっと山本君のことが頭から離れなかった。塾の帰り道にふと公園を見ると、頭にずっと浮かんでいた人物がいて、思わずかばんを落とすところだった。
「あ…れ、山本君?」
「おー葉音だよな?奇遇だな!」
私のこと覚えていてくれた、それだけで嬉しくて、明日からまた頑張れる気がした。でもこんな時間に何してたんだろう。
「山本君こんなところでなにしてるの?」
「俺かー?俺はゴミ掃除……だな、葉音はなんでここに来たんだ?」
「私は塾の帰り」
ゴミ掃除なんて私には真似出来ないよ、やっぱり山本君は凄いな。立ち話してて遅くなると心配されるからそろそろ帰ろうと思ったら山本君に引き止められた。
「へー、じゃあ送ってくぜ?」
「い、いいの?」
「おう」
山本君に送ってもらえるなんて幸せすぎる、夢じゃないよね。
私がわたわたしてたら山本君が私の片手を掴んだ。
「あ…」
「寒いだろ?手繋いどこうぜ!」
「うん…」
山本君が繋いでくれた手は熱くて、顔は真っ赤だと思う。今が夜でよかった。
「葉音顔真っ赤なのなー……そんなに俺の事好きか?」
「や、山本君!?」
やっぱりばれてたんだ、今すぐ逃げ出したい。無理だけど。好きだって言うのは恥ずかしくて私には言えなかったから頷いたら山本君に抱きしめられて一瞬頭が真っ白になった。
「明日から凜は俺のって事で」
「……うん」
耳元で囁かれたら私が断れるわけもなく、というより断るわけがない。今からこんなんで明日から私もつんだろうか。新たな悩みは出来たけど、私は山本君が大好きです。
(ゴミ掃除最近やってないよね?)
(今は虫退治が主だからなー)
あとがき
ゴミ掃除=ボンゴレの敵とか絡んできた不良の始末
虫退治=ヒロインに近づいた男の片付け
うちの山本は黒いです、彼は天然なんかじゃありません
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