私だけが知っている(伊)
黒イタリアにつき閲覧注意




今日は晴れで、絶好の訓練日和だ。今日も私はいつものメンバー…ドイツさん、日本さん、そして私の幼なじみで不幸の元凶のイタリアの三人で行われる訓練を見学していた。

「今日は手榴弾を使うから十分注意するんだぞ!特にイタリア!」
「ヴェ〜、了解であります!」

ドイツさんのやる気の塊みたいな声とは対象的にイタリアはいつも通りの間延びした声で返事をする。私がぼーっとしながらイタリアを見ていたらいつの間にか隣にいた日本さんが話しかけてきた。

「張り切ってますね、イタリア君」
「そ、そうですね」

騙されてます日本さん!と伝えたくなったが、あいつの演技力は半端じゃない。言ったところで信用されないだろう。みんなから見たあいつはただのヘタレだから。けど私は知っている、コイツは最悪な奴だ…!

「リン伏せろ!」
「え?きゃあぁっ!」

いつの間にか訓練を始めていたらしく、私目掛けて手榴弾が飛んで来ていた。ドカンと派手な爆発音がして恐る恐る後ろを振り向くと軽く地面がえぐれていた。もしドイツさんが叫んでくれなかったらどうなっていたか、想像してぞっとした。

「あ、危な…かった…」
「イタリア!お前は毎回毎回…」
「ヴェ〜……ごめんよドイツー、リンちゃんもごめんね?」
「大丈夫、気にしてないから」

私は出来る限りいつも通りの笑顔をつくって答えたが、確実に顔が引き攣っていたと思う。だって絶対わざとだ、こいつは私を殺したいのだろうか。ドイツさんに見えないように笑ったこいつを私は絶対に忘れない。

「本当?よかったぁー」
「わっ!」

突如抱き着いてきたこいつを支えきれずに地面に倒れた。これがロマーノだったら照れたりするかもしれないが、こいつの場合恐怖しか浮かばない。現在進行形で骨がボキボキいってるのだから。咄嗟にドイツさんと日本さんに助けを求めたが、やっぱり無駄だった。

「まったく、イタリアのやつは…」
「ほほえましいですね」
「ホントに誰でもいいから助けてー!!」

憎らしいほど澄み切った青空に私の声が空しく響いた。


(リンちゃんパスタ作ってくれない?今すぐ)
(はぁ!?なんで私が…)
(ね?)
(あんたなんか嫌いだー!)




あとがき

イタちゃんは黒く出来てもロマーノは黒く出来ないと思っています。
ドイツは素でわかっていなくて、菊はわかってて傍観してるはずです。

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あきゅろす。
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