特別な呼び方(普)



「ねぇギル」
「どうした?」
「あのさ…その…ギルのことドイツさんって…」
「ヴェストがどうかしたのか?」

そう、ギルはドイツさんのことを"ヴェスト"と呼ぶ。弟で可愛がっているからなのは理解しているつもりだけど少し悔しかったりする。

「……なんでヴェストってよぶの?名前ルートヴィヒだよね」
「あぁ…何でだったかな…覚えてねぇ」
「あ、そ…」

ドイツさんのことは嫌いじゃない、けど毎回毎回その名前を聞くたびにひどく嫉妬心にかられる。

「で?何だったんだよ」

ギルの一言で現実に引き戻された私は前々から思っていた疑問をぶつけてみた。

「ドイツさんはギルのこと何て呼んでるの?」
「ヴェストに聞けよ」
「教えてよ!!」
「自分が何て呼ばれてるかなんて覚えてねぇよ!つーかなんでそんなこと聞くんだよ」

相変わらずギルは鈍過ぎる。この質問をするのに私がどれほど緊張したと思っているのだろうか。どうせ私が呼び方一つに一喜一憂してるなんて知らないんだろう。

「ドイツさんだけなんか特別な呼び方で…仲良さそうな感じで羨ましかったから」
「……ギルだってお前しか呼んでねぇし、お前以外に呼ばせる気はねぇよ」
「ギル…///」
「だからその…気にすんなよな!」

私はなんて小さいことで嫉妬していたんだろうか。ギルの言葉でスッと心の中のもやもやが消えた。

「ありがとギル…大好きっ」

照れてるのかいつものように高笑いしているギルに思いきり抱き着いて言ってやると、面白いくらい真っ赤になった。その様子が可笑しくて笑っていたらギルに唇を塞がれた。少し強引だけどそんなギルだから好きになったんだよ、なんて絶対言ってやらない。代わりにギルの背中に手を回してギュッと抱きしめてやった。


(つーかギルのこと名前で呼ぶほど仲良い奴いないじゃん)
(うるせーよ!!)




あとがき

プーちゃんがあまり不憫じゃありませんけど愛故にと言うことで
好きキャラを弄るのは大好きなので次は目一杯弄りたいです!

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