貴方を取り戻すと誓った日(日)
ヒロイン沖縄設定



久しぶりに来た彼の家、昔と変わらない日本の家に少しだけホッとした。私はかなり変わってしまったから。


『貴方を取り戻すと誓った日』


「菊さん」

さっきから縁側に座って庭を見ている彼に声をかける。

「…どうかされたのですか?」

ふわりと笑って返事をしてくれたが、彼の表情はどこか暗くて私がそんな表情をさせているかと思うと胸が苦しくなった。

「えっと…身体は大丈夫なんですか?」
「ええ、ずいぶん良くなりました」
「そうですか…良かったです」

菊さんの身体はこの間の戦争でボロボロだった。二度の原子爆弾でアイツが菊さんに負わせた傷はなかなか治らず、一週間以上目を覚まさないのを見ているのはとても辛いものだった。

「凜さん…沖縄に戻らなくて宜しいのですか?」
「帰りたくないです…アメリカなんかに頼りたくないですっ…!!」
「凜さん…」

泣いて困らせる気はなかったけれど、菊さんを傷付けたアメリカに頼るなんて嫌で嫌で仕方がなくて気がついたら涙が流れていた。

「私はっ…菊さんの物なのに!」
「すみません…」
「菊さんは悪くないです!私が弱かったから…あんな奴に菊さんを傷付けられて…守りたかったのに守れなかった!」

そう、菊さんが悪いのではない。全てはアメリカに敗れた私のせい。それでも貴方の側に居たいと思うのは、都合が良すぎますよね。
軽く自己嫌悪に陥っていた私を菊さんは抱き寄せると、いつもの穏やかな、だけど強い声色で囁いた。

「大丈夫です凜さん」
「菊さん…」
「あなたは私が必ず取り戻しますから…」





あとがき
駄文失礼しました……
にっさまはシリアス?が割と書きやすいので不思議ですね

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あきゅろす。
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