その瞳に映るものは(英)
貴方はいつも私を見てくれない
私の中に誰を見ているの?
『その瞳に映るものは』
「別れよう?」
と、私が告げると私の目の前に座っている男、イギリスはひどく驚いた顔で私を見た。
貴方が私を見ていない事に何時気が付いたかはもう覚えていないが、自分の事を愛していない男とこれ以上一緒にいることは私には出来なかった。
それが愛した男ならより一層。
「ど……して…」
「どうして?そんなのイギリスが一番わかっているでしょう?」
自分の気持ちを悟らせないようにすると、どうしてもキツイ言い方になってしまう。
さっきよりも困惑の色がイギリスの翡翠の瞳に増し、目尻にはうっすらと涙が浮かんでいるが、ここで引くわけにはいかない。
「イギリスは…っ、私の事を愛していないのでしょう!?」
あぁ、駄目だ。
私のもともと緩かった涙腺は呆気なく崩壊した。
イギリスには迷惑をかけたくなかったのに……。
私が必死に止めようとしているのに涙は止まることを知らないかのように溢れてくる。
"リン"と、イギリスが私の名前を呼び、ふわりと私を抱きしめた。
「やっ…!」
「大人しくしてろ」
イギリスは耳元でそう囁くとさっきよりも強く私を抱きしめた。
この温かさに身を任せちゃいけないのに、と頭ではそう思っているのに私はイギリスに縋り付いていた。
「ホントはっ……別れたくなんか、ないっ!」
「すまなかった、俺はリンの事をこの世で一番愛しているから。」
「イギリスっ!!」
それから私たちは深く深く、互いの存在を確かめるかのようにキスをした。
初めてイギリスと心が通じ合ってしたキスは、少しだけ涙の味がした。
(ねぇ、私見て誰を思い出してたの!!)
(えと…あ、アメリカ…)
(あんなKYに重ねられてたなんて…っ!)
あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございます。
第1号はイギリスでした!
誤字脱字等ありましたら報告お願いします。
[次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!