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チョコよりも君を(2010バレンタイン一土inアメリカ)

「どーもんっ!今日、何の日か知ってる?」
一之瀬は背後から土門の顔を覗き込む。
「んー、今日何日だっけ…」
土門は唸りつつ思考を巡らせたが、どうやら日付感覚を軽く失っているらしく降参だと言わんばかりに苦笑した。
そんな様子に、一之瀬もつられたようにニッコリと笑う。

「正確、教えてあげる」

バレンタイン

一之瀬の唇が動く。
「ああ、そっか」
今日は2月14日。バレンタインデーだった。

「はい、これあげる!」

そして一之瀬が差し出すのは、チョコレート専門店の包装が施された小さな箱。
中を開けると、これはまた大胆な、と唸ってしまうような一之瀬らしいハート型のチョコレート。

「…これ、高かったんじゃない?」
勿論嬉しいけど、お返しどうしよう、と小さく呟くと
「バカだなぁ土門。アメリカにはホワイトデーなんて無いじゃないか」
「あ」

間抜けな声を出す。
そういえばそうだった。
日本に長くいたものだから、と土門は苦笑しながら頭を掻いた。


「うん、だからさ。お返しは今、体で払ってね」


一之瀬はにやりと笑い、土門の目を見据える。



…うーん、どう返すべきかと悩んだ末に
「…なんかやらしいなぁ、それ」
そして二人は顔を見合わせ、小さく吹き出した。


fin


2010/2/14

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